4.2.Bエゼクター性能の分子量補正について

このホームページでは、吸込性能は原則として吸込状態容積量で表示しています。
吸込状態容積量で性能表示する場合は、水環真空ポンプは、吸込ガスの比重すなわちガスの平均分子量によって吸込性能が変化することがありませんが、エゼクターは、容積量表示では吸込性能が大幅に変化します。

  1. スチームエゼクター

    産業界で広範囲に使われているスチームエゼクターの、分子量が異なるガスを吸い込む場合の性能補正は、空気吸込テスト性能との換算の形で、国際的規格による換算曲線(図1 吸込重量比 HEIの線図)によってなされます。スチームエゼクター(SE)の吸込性能は、通常は空気吸込テスト必要量を「空気相当」として重量表示されます。
       空気相当=吸込ガス必要重量/図1の重量比
    であり、図1の重量比は、吸込ガスの平均分子量によって与えられます。
    図1の吸込重量比を吸込容積量比に変換したものが、図2です。図2では、エゼクターは容積量表示では、重分子ほど性能低下することになります。
    従って、SEではガスの平均分子量を確認することが必要です。
    図1、図2の使い方は、後述の計算例によって、確認して下さい。

    図1 吸込重量比(HEIの線図)

  2. 空気エゼクター

    空気エゼクター(AE)は通常は水環真空ポンプの前置附属品として標準化されていて、空気吸込容積量で表示されています。真空ポンプはガスの分子量が変わっても性能変化しないために、AEの分子量による性能変化も無視されている場合がほとんどです。しかしながら、空気以外のガスでは上と同様の補正が必要であり、化学プロセスにおける有機ガスの吸込ガスの平均分子量による性能変化のチェックが必要です。
    更に、空気エゼクターで水蒸気を吸い込む時には、換算図からは吸込容積量比では空気の1.27倍となるのですが、実際には空気と同じ容積量しか吸い込みません。おそらく、エゼクターでは、駆動ガスよりも軽いガスでは、容積量としては吸込量が増大しないのでしょう。この点は逆の注意が必要です。

  3. エゼクターの分子量補正の計算例

    吸込圧 3 kPaA(22.5Torr)、30℃の条件で、吸込ガスが下表の左側のような時、平均分子量を求めると、下表の右側のような形になります。
    kg/h 分子量 wt% m3/min vol% M%
    空気 3 29 31.6 1.45 47.9 13.88
    ガスA 2.5 44 26.3 0.80 26.4 11.62
    ガスB 4 72 42.1 0.78 25.7 18.53
    合計 9.5 100 3.03 100 44.03

    平均分子量=44.03
    空気相当(空気テストで必要な能力)は、重量表示では、分子量=44.0 の時、図1 より重量比 1.18であるので、空気相当=9.5/1.18= 8.05 kg/h、これを容積量に換算すると、3.89 m3/min

    次に、容積量表示では、図2より、分子量=44.0 の時、吸込容積量比 0.79
    空気相当=3.03/0.79= 3.84 m3/min
    即ち、容積量 3.03 m3/min at 22.5Torr のみの仕様表示では、ダメなことが御理解頂けるでしょう。
    必要な吸込容積量に加えて、平均分子量M=44.0 を明記せねば、大きな誤差を生じます。
    化学工業などでは、有機ガスの多くは、空気よりも分子量が大きいからです。
    また、重量と容積量の両方の計算をしておくことが、ユーザー、メーカー共にミスを少なくする方法でもあります。

  4. メカニカルブースターも平均分子量が必要

    上述は、スチームエゼクター、空気エゼクターに関してであり、要約すれば、重分子を吸込む場合は、エゼクターは容積量表示では大幅に性能低下する、と言うことです。
    このことは同時に空気エゼクターを補助ポンプとするメカニカルブースターにも言えることになります。メカニカルブースターは、補助ポンプの性能によって大きく性能が変化するためです。詳しくは、
    「5.2.F メカニカルブースターの重分子低減」を参照下さい。



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